ご主人様に首ったけ!
このときの神くんは、今までの人をさげすんでいるような冷たい笑い方じゃなくて、心から楽しそうに笑っているような感じがして……。


私を脅していた神くんは許せる行為じゃないけど、神くんに対する苦手意識が遠く吹っ飛んでいった気がした。


「じゃあね、話したいことはそれだけだから」


それだけ言うと神くんはベンチから立ち上がり、手を振りながら去っていった。


私はというと、神くんの去っていった方を見つめながら今起きた数分の出来事を思い出し、必死に整理していた。


えと?

神くんが私に謝ってきて、神くんは霧様には勝てなくて、ぶどうで(?)。

ご主人様のところに帰りな、ってことは?


私、霧様のところへ戻れるの?

神くんのことを気にしないで、霧様と一緒にいられるの……?


うそ、うそっ、うそ――!?

ほんとに?

ほんとに、霧様のところに……?


どうしよ……。

嬉しくて、嬉しくて……っ。


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