ご主人様に首ったけ!
それでもなんとなく納得がいかなかった私は……。


「じゃ、じゃあ霧様……っ」

「ん?」

「半分持ちます……っ」

「え?」


霧様の手を解き反対側へとまわると、鞄の取っ手の片方を無理やり霧様から奪い取り自分の腕にかけ、鞄越しに霧様の手に自分の手を絡めた。


こんなバカップルみたいな事、すっごくすっごく恥ずかしくて……。

霧様の顔を見ることが出来なくて……。


でも……。


「……これなら悪くないかな」


そんな霧様の声が聞こえたかと思うと、ぎゅっと握った手を握り返してくれて……。

びっくりして霧様を見ると、そのお顔は真っ赤に染まっていた。


霧様が照れてる……。


そんな些細な事が嬉しくて、自然と顔が綻んだ。

一つの鞄を仲良く2人で持ち、2週間ぶりの東條家へと向かった。



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