ご主人様に首ったけ!
ただでさえ、私には方向音痴の自覚症状あり。


ど、どうしよう……。
霧様が待っているのに……。


同じところをぐるぐると回っているようにしか見えない景色に、右往左往していると、


「露?」

「え?」


後ろから名前を呼ばれて、振り返ると……。


「きっ、霧様!!」


なぜかそこには、部屋にいるはずの霧様がおかしそうに笑いながら立っていらした。


「やっぱりね」

「え……?
な、なにがでしょうか……?」


あくまでも冷静さを保ちながら、とぼけてみたけど霧様には全てお見通しで……。


「露、迷子になっていたでしょう?」

「あ……」


やっぱり、バレてる。


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