ご主人様に首ったけ!
蒸らし時間が過ぎると、軽くポットを回してから、茶漉しを通してティーカップへと出来立ての紅茶を注いだ。


カップをソーサーに乗せ、それをさらにトレーに乗せて霧様の元へと運ぶ。


ただ運ぶだけの行動なのに、緊張してトレーを持つ手がかなり震えてる。


ここまで来て失敗しませんようにっ。

と、思った矢先……。



「きゃっ」


何もないところで躓いて、バランスを崩した私は危うくトレーを落としそうに……。


「大丈夫?」

「は、はいっ」


心配そうに、でも可笑しそうに霧様が声をかけてくださり、私はなんとかバランスを取り直すと、今度は大きく深呼吸してから霧様へ近づいた。

だって、せっかく作った紅茶を無駄にしたくないし……、何より、霧様に私の作った紅茶を飲んでいただきたいもん!


5mもないこの距離が、こんなにも長く感じるなんて……。


それだけで寿命が縮む感じ?

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