ご主人様に首ったけ！

「え？東條のメイドさんみんな言ってるよ？霧様を落としたのは露ちゃんが初めてだって」


落と……っ!?

なにそれ!?

しかも、登場のメイドさんみんなって……。
そんなの全然知らないしっ！


「べ！別に、落とすとかそういうんじゃないしっ」

「そうなの？」

「そうなの！」


……そうだよ。
確かに霧様はすごく優しくしてくれるけど、それが本当に私だけなのかな、って思うもん。

あれだけ優しかったら、絶対に他の人にだって優しいはずだもん。

別に、私だけが特別なわけじゃないよ、きっと……。


「露ちゃん？」

「え？」

「どうかした？」

「えっ、あっ!?
ううんっ、なんでもないっ」


“私だけ霧様の特別じゃない”という自分の考えに落ち込んでいると、それに気付いた綺ちゃんが不思議そうに顔を覗き込みながら聴いてきた。


でも、そんなことを思っていることはなんとなく知られたくなくて、なんでもない振りをして再びご飯に手をつける。