ご主人様に首ったけ!
質問されたのに、なんとなく答えづらくて質問で返してしまう。


「彼女?じゃあ露は、その彼女は誰だと思うの?」

「え?
え……っと、学校のご友人、とか?」


霧様に彼女がいるって知っただけでもすごく切ないのに、いくら霧様が私の気持ちを知らないからって。さらにその相手まで答えさせるなんて……。


あまりにもひどいと思われるその質問に泣きそうになっていると、霧様は突然くすくすと笑い始め、それと同時に私の腕を離した。


「違うよ、露。
デートは露とするんだよ」

「そう、ですか……やっぱり私と……。
……って!??え、ぇえっ!?わ、私ですか!!?」


一瞬言われた意味が分からなくて、納得しかけたところで、ようやくその言葉の意味に気づいた。


い、いいい今、霧様は私とデートするとおっしゃったの!!?

な、なんで!?


「だってほら、露はここに来てからまだどこにも出掛けていないだろ?
たまには出掛けたいんじゃないかなと思って」

「い、いえ!
私は霧様と一緒にいられるだけで充分……っ」


って、うわ!
私、なに言ってんだろ!?


厚かましいにも程があるよねっ!?

< 82 / 374 >

この作品をシェア

pagetop