ご主人様に首ったけ!
きゅっと、その手を握り返されて私の心臓はドキドキが止まらなくなる。


そしてゆっくりと歩き始めた霧様についていくように、私も歩みを進めた。


「車の方が早いんだけどね、露と2人きりになれる時間がなくなってしまうから……。
歩きでもいいかな?」


軽く後ろを振り返りながら、霧様は私にそう確認をしてきた。


「全然大丈夫ですっ!
私も……」

「え?」

「私も、霧様と2人きりが、いいです……」


そう言いながら、握られた手に力を込める。


図々しいかな?

迷惑かな?


でも、それが私の本心……。


霧様と手を繋いでいる今、絶対に嘘はつきたくない。


「露……」


小さく名前を呼ばれて、霧様も私の手を握る手に力を込められた。


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