黒と白−世界の果て−
私は自然が好き。




城下町の近くには森があり、立入禁止なのを知りながらも、よくそこに足を踏み入れる。


そして自然を肌で感じながら、ひと時を過ごす。







「あいつはいかれてる。」


そう言われた事もあった。


「あいつ、独り言言ったり、何もないのにいきなり笑ったりしてるんだって。」


「変なの。あの森に入ったりしてるしね。」



あたしはあんたらには見えない風と喋れるんだよ。
いかれてなんかいないよ。
それに、森に入る事のどこがおかしいの。



そう思っていても、まだ小さかった私は、自分が自然の使いである事を恨んだ。
それに、自分から自然の使いだと名乗る事はタブーなのだ。




自然の使いなんてなりたくなかった。


そう思って、涙を流した毎日だったけれど、大きくなるにつれてその気持ちは、無くなっていった。



調度、私の両親が亡くなった頃だった。


心の何処かで、何かが変わった。


そして、私の隣にはいつも風がいた事に、

やっと気が付いた。



< 5 / 74 >

この作品をシェア

pagetop