黒と白−世界の果て−
あの、この前の――


突然、あの日の事がよみがえる。



私の足がすくむ。

恐くて。






『王女、やっと見つけましたよ』



そして、ケケケと笑い声を発した。





悪しき者の顔はよく見えないが、ケケケという気味の悪い声で、笑っている事がわかる。





「さがって下さい。」



エルが剣を手にとる。





『何度もやられはしないよ、ケケケ…』





その瞬間。





「――な――っ」







消えた。
さっきまでいたのに、悪しき者はいなくなった。


と思えば。





――ザクッッ!





嫌な音がした。


と、エルがよろける。


見ると、肩から血を流していた。






悪しき者の姿形は見えないのに。

でも、絶対今の攻撃は奴の仕業だ。





どういう事――?





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