KAGAMI


アタシは想太くんの頬っぺたに触れた。
想太くんは苦しそうな顔を浮かべて静かに涙を流していた。
それがアタシの頬に落ちる。

「はは、莉麻が泣いてるみたいだ」

想太くんは無理に笑って言う。


本当は、アタシも泣いてるのかもしれない。
想太くんはアタシが見られたくない事を、隠してくれてるのかも。



「泣かないで。想太くんは、」


泣かないで。
アタシの大好きな笑顔で、笑って魅せてよ。


アタシの大事な人は、笑顔が素敵な人…





想太くんはこの日、

アタシの願事を叶えてくれた。




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