KAGAMI


教えてあげるから。

想太くんがもう迷わないように、教えてあげるからね。
忘れないであげて。


「あの日電話で、お母さんが想太くんに言った事。」

これはアタシにとって地雷だけど、想太くんが軽くなるなら…
アタシは自分の事なんて、どうでもいいと投げだせるよ。

これがアタシの精一杯の、表現法だよ。


「この1年、想太くんを想って頑張ってきたの。想太くんに会えてよかった」



そしてまた、想太くんが涙を流す。

泣かないで。
想太くんは、笑ってる顔がいちばんなの。



自分の事だけを思えば、言わなければよかった。
想太くんの中のお母さんの存在が、また大きくなった。
もう居ないお母さんを超える事なんて、アタシには出来ないんだろう



「…ごめん、莉麻」

どうして謝るの?
想太くんが軽くなるなら、アタシは平気だから。

謝らないでよ。
平気だから



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