KAGAMI


やっぱり、想太くんはずるかった。


「俺から離れないで。隣に居てくれるだけでいいから」


これ以上ないくらい好きな筈なのに。
気持ちは、心臓が耐えられない程大きくなるばかり。

絞めつけられる胸が苦しい。
苦しい程、想太くんが好きなの。



産まれてきた事が失敗。
アタシは神様の失敗作。
死にたい。


それでいっぱいだったアタシに『隣に居るだけでいい』なんて。



想太くんはいくつ、アタシなんかにはもったいない言葉をくれただろう。




言葉が随分軽くなってしまったこの時代で、『大好き』や『愛してる』なんかじゃ足りなくなるには、時間がありすぎた。

言葉に重みが無いから、何回も言うんじゃない。


確かめるように、
これ以上だと伝える為に、


アタシは何度も何度も言うから。
何回でも伝えるから。


これから先アタシが不安になったら、想太くんも言ってね。
まだ、アタシの事を嫌ってないって分からせてね。



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