KAGAMI


うわ…

恥ずかしくて顔から火が出そうだ。


アタシは熱くなった顔を想太くんの胸に押しつけて隠した。

涙が頬を伝う度に、想太くんはそれを拭きながら聞いてくれた。
上手く話せなくてつっかえながらだったけど…
想太くんは何度も「うん、うん」って相槌を打ちながら聞いてくれた。

その時の想太くんは、すごく優しい顔をしていた。


「莉麻…」


想太くんはアタシと向き合おうとするけど、アタシは想太くんを強く抱き締めたまま離れなかった。

顔を見られるのは、すごく恥ずかしかったから。
きっと今アタシの顔は真っ赤。
それを見られたくなくて、必死で想太くんにしがみついた。


そしたら想太くんは、アタシの身体を強く抱き締め返してくれた。


「そっか。じゃあそのままで良いから聞いて。」


抱き締めたまま、想太くんは言った。

聞き慣れた話口調じゃなくて、消えそうな不安になる声でも無くて。
今の想太くんみたいに、優しい優しい声だった。


そう言った想太くんは、腕の力を緩めてアタシの背中に手を添える程度。
それでもアタシはちゃんと想太くんの腕の中で、大人しく言葉を待った。


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