KAGAMI

想太くんってずるい。
「アタシばっかり」じゃないって、想太くんの身体から伝わる鼓動の早さが教えてくれる。

嬉しすぎて、幸せすぎて、涙が止まらないよ…

でも想太くんは、喋ってる間拭いてくれなかった。
アタシが顔を隠してるから、当たり前だけど。


言いかけて、想太くんは身体を動かした。


ひっついていたアタシの身体を離して、首筋に手を添える。
くすぐったくて身をよじらせるアタシ。

「まーた泣くー。困らせんなよ」

それを無視して、アタシの頬を撫ぜてくれる想太くん。
目が赤くならないように、優しくアタシに触れる手を愛しいと思った。


「これだけは、莉麻の目ぇ見て言わせて。」


そう言う想太くんの顔は、真っ赤だった。
きっとアタシよりも…。


「わ、これ照れるな…」


想太くんはなかなか言ってくれない。
でもアタシは、待つのには慣れてるから平気。