KAGAMI
「好きだなぁ…」
初めてこんなに近くで見るこの顔も。
いつもの想太くんと違う想太くんを見れた事。
それだけでこんなに幸せな気分になれる。
アタシって単純。
これがアタシの好きな人だよ。
この人がアタシの好きな人なんだよ。
柄にもなく、そう叫びたくなる情動。
それを抑えて、アタシは想太くんの唇に自分の唇を近づけた。
想太くんが起きないように、そっと。
微かに触れた唇は、震えてしまった。
想太くんの身体が動いた気がして、アタシはとっさに目を瞑った。
「…ん。」
想太くんは起きたのか寝ぼけているのか、アタシを抱き締めた。