KAGAMI


きゅーっと苦しくなる胸。
これが、好きって事なんだって想太くんが教えてくれた。


「りーおちゃん?タヌキ寝入りは良くないなー」


想太くんはアタシの頭の上で言った。
ビクっと跳ねる心臓とアタシの身体。

「寝込みを襲うなんて、やらしー」


もう寝たフリなんてできない、けど…
寝てるところにキスした後に、どんな顔をすればいーの?


「お、起きてたの…?」


アタシは想太くんの身体に張り付いてる顔をそのままに、目だけ想太くんに向けた。


「あぁ。『なんでこんなに好きなんだろ』辺りから」

「何それ、酷い!起きてたなら反応してよ!」


と、アタシは理不尽な怒りをぶつけた。


さっきまでの可愛い寝顔は何処にもなかった。
むしろ無防備なのは、アタシの方だ。


「あ?昨日まではあんなに素直で可愛かったのに」


想太くんはいじわるな笑顔を浮かべてアタシを見る。
顎を引いて、アタシを見る。


< 170 / 276 >

この作品をシェア

pagetop