KAGAMI


2年も前の事を、これ程鮮明に思い出せるのは2年より前の記憶がリセットされたからって理由だけじゃない。


アタシにとって大切な、想太くんとの思い出だから…




あぁ、目を離す事さえ嫌なのに






リビングのソファに踞って淹れてもらったコーヒーを一口含む。


さすが、想太くん。
砂糖とミルクの量が調度いい。


「分かってるなぁ…」






どのくらい思い返していたのか、淹れたてだったはずの冷めたコーヒーで分かる。

その間、想太くんは何をしていたのかな?


アタシが呟いた小さな声を聞き取ったかのように、想太くんが後ろから近付いてきた。



「落ち着いたろ?」




落ち着くよ、そう言って受け取ったコーヒー。

魔法でもかけられた様に、さっきまでのパニックは残っておらず自分の鼓動だけが聞こえていた。



想太くんは上から、アタシの頭をポンポンと叩く。


きゅーっとなる心臓が、早くなるのを感じた。



見上げると、想太くんもアタシの視線に気付いたのか、優しく微笑んでくれた。






もうそろそろ、限界が近い…




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