KAGAMI
なのに、答えたいと思った。
この人に答えてあげたい、と思った。
「それってどういう意味?」
先輩は、いたって真剣。
真剣にアタシも映す目は、可愛くて優しい垂れ目じゃない。
欲しいっていう本能を剥き出しにした、目。
「おれのものになってくれんの?」
「あ…」
でも答えられない。
何も言えなかった。
上手い言葉は見つからなかった。
傷つけない方法なんて、知らないくせに。
人を見下せる程、アタシは出来た人間じゃない。
馬鹿にしてたここに集まる生徒達は、自分に従順に従ってるだけだ
と気付いた。
アタシは、従うべき自分をも隠してる…。
ここに“赤澤莉麻”は存在しない。
ごめんなさい…