KAGAMI


やっと食べ終えて、お礼を言う。

「ごちそうさまでした。」


そう言って財布から500円玉を取り出して先輩に差し出す。

「足りますか?」


パン2つ分と、結局半分も飲んでしまったジュースの代金。

「いや、要らないし」


先輩はそれを突っ返す。

「そういうわけには…」


アタシはそれをまた突っ返す。
行ったり来たりの、可哀想な500円玉。


「ごちそうさまって言ってくれたじゃん!それだけで十分だよ!」

先輩は続ける。

「それにおれが誘ったわけだし、おれのせいだし」


先輩は本当に申し訳なさそうだ。
この上、500円玉を押しつけたら、もっと申し訳ない顔をしてしまう気がして、先輩の好意に甘える事にした。



「先輩っていつも購買のパンなんですか?」


何となく、聞いてみた。


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