KAGAMI
「失礼します。」
そう言って資料室に入るアタシ。
あれから授業の内容なんてこれっぽっちも頭に入っていかなくて…
なぜか先輩の声が頭から消えなかった。
それと同時に浮かんでくる、想太くんの顔。
“好き”
アタシはこの言葉が聞きたかっただけ…?
でもそれは先輩の、じゃなくって
想太くんの口から聞きたかったのに。
それでもなんで、こんなにドキドキぢてるのか自分でも分からない。
「あぁ、赤澤か。これこれ!」
田中先生が笑って分厚く重なったプリントを渡してきた。
「え…こんなに?」
「あぁ、来週までな!」
さらに緩んだ笑顔を向けられた。
そんな顔されても…
こんな量、絶対無理!
「夏休みの課題より多いじゃないですか!」
正直そんなのやった事ないけど…
「これに懲りたら、ちゃんと来るんだなー!」
なぜか楽しそうな先生。
アタシはしょぼんとして資料室を後にした。