KAGAMI
第七章


来た道と同じ道を通って家路についた。

「ただいま」

リビングに居るなら聞こえるくらいの声で言って靴を脱いだ。
そこに想太くんの姿は無くて、アタシは何故かほっとする。


はっきりさせないと…。

久しぶりに行った学校で、こんなに影響を受けるなんて思ってなかった。
こんな事になるなら、行かなければ良かった。
なんて思いつつ、アタシはヤカンに水を入れてお湯を沸かす。

その間に部屋に行って、制服から部屋着に着替えた。


想太くんの顔は、頭から離れないまま。
どうしてだろう。


好き。

そんなシンプルな感情は、どんどん汚れていく気がした。


まぁ最初から、綺麗な感情では無かったけれど。



キッチンに戻ると、ヤカンが音を立てて水が熱くなった事を知らせていた。
カップ2つ分のお湯を、コーヒーメーカーに移してコーヒーを淹れる。

はやく、話がしたい。
もう逃げるのは辞めよう。

アタシが怒る理由なんてない。
なんでこんな事で疑っていたんだろう。
って、今朝までの自分を後悔した。

きっと想太くんは、部屋で仕事してる。
これを持って、今朝の間違った態度を謝ろう。


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