KAGAMI


「どうだった?久しぶりの学校。」

想太くんはカップに口をつけて言った。

「うん、プリント大量に貰った。」


あちっと冷ます前に付けた唇をはふはふし出す想太くん。
猫舌のくせにフーフーしないで飲むのは、フーフーするのがガキっぽくて嫌だって言うから。

「はは、そりゃそうだろ。授業出てないんだから」

困ったような顔をして想太くんは笑う。
あのプリントの量は、笑えない程なのに。


「ちゃんとやるから、分かんないとこ教えてね」

アタシも想太くんと同じように笑う。


「分かる範囲でな」

同じ顔で、想太くんはさらに笑った。
そんな愛想笑いでさえ、嬉しくなるアタシ。


簡単な事だ。
ただ 好き なだけなの。

好きだから、些細な事が大きな事に変わってしまうの。



「ねぇ想太くん。昨日、何してたの?本当に仕事だけ?」


アタシが心配しないように、抱いてくれたんだよね?
初めての時は結ばれた気がしなかったけど。
あの時は、結ばれたって思えたんだよ?


それは、お母さんの事を抜きにして
アタシを愛してくれたからだよね?


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