KAGAMI


「あの…」


僕は思いきって声をかけた。


「…はい?」


自分に声をかけた事が分かったのか、彼女は迷う事なく返事をくれた。

声をかけたにもかかわらず、なんと言って言えばいいのかわからないまま沈黙。



「ここ、寒いです。」



今思えば、この言葉にはどんな意味があったのだろう?

全てが思い通りになってしまったのか
最初から、目的があったのだろうか
それとも彼女にとって僕は



彼女 か それ以外



の対象なのだろうか。




タイミングが良いのか悪いのかさえも分からない。
この時の全ての出来事が、自分がした行動が、正しかったのか、間違いだったのか、誰が教えてくれるのだろう。






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