KAGAMI


先ほどまで、凍えながら居た噴水とベンチの待ち合わせ場所は窓の外。

つまりそこから見えていた目の前のホテルにチェックインした。


「よかった、予約してあったの無駄になってしまうかと思ってたの…」



そこで彼女と色んな話をした。

名前は赤澤 麻子さん、歳は32歳。
僕より14歳も年上だった。


今日は仕事であそこのベンチに居たらしい。



「結婚してる人だったから、すっぽかされちゃったのかも…」



そう言う麻子さんは寂しそうな表情だった。

なんで?
ただの客だろ?

どうしてそんな顔するの?



「ねぇ、私を買ってくれる?」




変わり?

その男の変わり?





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