KAGAMI



麻子さんを抱いた。



その後も彼女は何事もなかったかのように、僕に笑いかける。

麻子さんにとってこの行為に、何の感情もない。
彼女の身体は、仕事道具。





それから「ありがとう」と言われて次の日の早朝に別れた。
一度帰って仕事に行く。

ふと外を見たら、麻子さんがいつものように座ってた。



胸が痛んだ。


僕は他の客と変わらないんだ。



彼女 か それ以外 か。



僕は簡単に“それ以外”になってしまった。





どうして。




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