KAGAMI
ドクドクとうるさい心臓を落ち着かせる為に、大きく息を吐いたけど然程意味は無かった。
「走って帰ってきたにしては、遅かったな」
想太くんはアタシの乱れた髪を直して、汗で額に張り付いた前髪を手でちょいちょいと直してくれた。
加賀美 想太(kagami so-ta)
22歳。
そこそこ売れてる小説家。
兼、アタシの保護者。
コンタクトをしてないのか、今日はメガネをかけてる…
寝ぐせも直ってない…
息詰まってるのかな?
かわいいけど
とくん、と跳ねた心臓を走ってきたせいにして、アタシはカラカラの口を開いた。
「キキ、キスされた!!」
「はぁ?」
想太くんはあからさまに大きな口を開けて、呆れたのか驚いたのかよく分からない顔をした。