KAGAMI
第四章
買い物を終えて、アタシと想太くんは家に帰ってきた。
想太くんが好きそうな、ワンピースを1着買ってもらった。
小さめのケーキも1ホール。
外はもう暗くなって、ビルや信号の明かりが目立つ頃。
夕飯を外で済ませてきたアタシ達。
歩き疲れてソファにうなだれるアタシをよそに、想太くんはケーキを切る為にキッチンに入った。
お湯を沸かす音聞こえて、コーヒーが飲めると期待する。
アタシはテレビを付けて、それ等を待った。
誕生日の日に手伝おうとしても、断固拒否されるのは去年の誕生日で分かっていた。
その変わり想太くんの誕生日には、アタシは扱き使われる。
「はい」という優しい声と共に目の前のテーブルに置かれた4分の1のケーキと“いつもの”甘いコーヒー。
もちろん想太くんが自分の分を持ってくるのを待って、ケーキを見つめた。
『Happy Birthday! RIO』とチョコペンで書かれた真ん中を陣取っていたクッキーはアタシのケーキの上にキレイに乗っていた。
水あめでコーティングされたいちごやラズベリーのタルト。
甘いものが苦手な想太くんの事を考えて、生クリームがついてないケーキを選んだ。
去年のアタシの誕生日に、ショートケーキを食べて気持ち悪くなった想太くんを思い出した。