KAGAMI


ふっと、自然と笑みがこぼれてしまう。
もう2年目か、なんて切実に考えていると頭上から声がした。


「なに笑ってんだよ?」


もう聞き慣れた、愛しい人の声。

「去年の想太くん思い出してたの。」


食べられないなら言えば良いのに、「甘いものが苦手」って言わないから。
顔色が悪くなる程苦手な生クリームと格闘してた想太くんが可愛くて…、
今年もショートケーキにしようかなて思ったけど、やめた。

「俺なんかしたっけ?」

アタシが言った言葉を少し考えてから、想太くんは首をかしげた。
そしてアタシの隣に腰を下ろす。

「んあー、疲れた!」

「…生クリーム事件」

アタシは少しいじわるして言った。


想太くんは、フルーツの甘さは好き。
分かりやすい例を挙げれば、ソーダ味のアイスは好きだけど、ソフトクリームは食べれない。
ゼリーは食べれても、プリンは食べれない。

これは全部、アタシが見つけた事。


想太くんは自分の話をしないから、アタシが知ってる全てが手探りで見つけた事。



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