【短】いちごな恋。
「では、失礼します」
「あっ…ちょっと待って!」
俺は無意識に引き止めていた。
「何ですか?」
オンナは最初、不思議そうな顔をしたが、
振り返ってから優しそうに笑った。
「名前…なんつーの?」
「あっ!言ってませんでしたね。
森宮いちごです。ひらがなで、いちご」
え?…いちご?
「…俺も」
「えっ?」
「俺……篠山一護。
数字の一に、護衛の護」
「一緒ですね!なんか…嬉しいな」
そう言って笑ったいちごに
また、胸がざわざわする。
「また、お話したいです」
いちごはそう言い残し、図書室を出た。