東日本大震災・宮城より
私もしばらく残っていましたが、「後は大丈夫だから帰っていいよ」と言われ、毛布や上着を持って帰宅しました。


自宅へ帰る頃には、雪と天気が悪かったせいもあるのか、薄暗くなっていました。


家の中に入ると、元々、『近い将来99%の確率で来る宮城県沖地震』の対策で家具を柱に固定していたので、洋間や茶の間はほとんど被害がありませんでした。


帰宅して私が驚いたのは、余震も続いていたから危ないのに、一番被害が酷かった台所を母が片付けていた事です。


割れた食器類の大きな物は片付け終わり、停電で掃除機が使えないので細かい破片の片付けは翌日に回す程度になっていました。


「大きな余震が来たら危ないのに、よくここまで片付けられたね?」


私がそう言うと、母が言いました。


「もう大体落ちる物は落ちたから大丈夫だ。このままの状態じゃ、夕食作れないんだから、片付けるしかないだろう?」


母は強し……って、こう言う時に使う言葉なんでしょうか?


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