激愛パラドックス
コンタクトレンズ


「うわーん!遅刻だよぉ〜」



半泣きになりながら、通学路を走っている私は、
橋野ユキ、15歳。

今日から高校1年生。


満開の桜なんか今はゆっくり見ている暇もなく、全速力で校門を潜る。


……何処に行けば良いの?


腕時計を見ると、入学式が始まっている時間。


最悪……。


肩で息をしながら昇降口に入ると、下駄箱にクラス表が貼ってあった。


その中から名前を探すと、2組に自分の名前があるのを見つけて下駄箱で靴を履き替える。


急いでいた私は、前しか見ていなくて段差に気付かず、マンガのようにソコに躓いてしまう。


「…ギャッ!」


イッターーイ!

もう、本気で泣いちゃいそう……。


ムクッと起き上がり、目を開けると視界がすこぶる悪くて再び目を閉じた。


………まさか。



まさかのまさか、コンタクトが外れてしまったみたいだ。



なんでこうなっちゃうのぉ!?


コンタクトがなきゃ、全くなんにも見えないのに!


私は慌ててカバンを探る。


眼鏡、眼鏡!


…………ない。


何度もカバンの中をまさぐったけれど、眼鏡は入っていなかった。






< 1 / 118 >

この作品をシェア

pagetop