激愛パラドックス
コンタクトレンズ
「うわーん!遅刻だよぉ〜」
半泣きになりながら、通学路を走っている私は、
橋野ユキ、15歳。
今日から高校1年生。
満開の桜なんか今はゆっくり見ている暇もなく、全速力で校門を潜る。
……何処に行けば良いの?
腕時計を見ると、入学式が始まっている時間。
最悪……。
肩で息をしながら昇降口に入ると、下駄箱にクラス表が貼ってあった。
その中から名前を探すと、2組に自分の名前があるのを見つけて下駄箱で靴を履き替える。
急いでいた私は、前しか見ていなくて段差に気付かず、マンガのようにソコに躓いてしまう。
「…ギャッ!」
イッターーイ!
もう、本気で泣いちゃいそう……。
ムクッと起き上がり、目を開けると視界がすこぶる悪くて再び目を閉じた。
………まさか。
まさかのまさか、コンタクトが外れてしまったみたいだ。
なんでこうなっちゃうのぉ!?
コンタクトがなきゃ、全くなんにも見えないのに!
私は慌ててカバンを探る。
眼鏡、眼鏡!
…………ない。
何度もカバンの中をまさぐったけれど、眼鏡は入っていなかった。