激愛パラドックス
ボケっとしていると、翔が近寄ってきてタオルとドリンクホルダーを渡してきた。
「持っとけ」
少し赤くなった顔で言われて、胸がキューンと鳴る。
「はいっ!」
ニッと口の端を上げると、コートの中に入っていった。
「橋野さん、危ないからあっちに移動しましょう」
グラウンドの端で、ドリンク作りのお手伝いをすることになった。
「いつも一人でやってるの?」
女の子一人でこんな重いの持つのか……。
「慣れたんですけどね。サッカー部ってミーハーで来るコが多いから、春やんがなかなかマネージャー取らないんですよ」
「マネージャーさんは、サッカー好きだよね」
「わかります?実は小学校まではサッカー部でした。中学に入ったら女子は入れなくてバスケとかやってたんですけど、物足りなくて…パス出しとかなら出来るし高校に入ったら絶対マネージャーになろうって決めてたんです」
目を輝かせて話すマネージャーさんに、一つの疑問が浮かぶ。
「でも、なんで眼鏡してるの?邪魔じゃない?」
暑いし、危なくないかな?
「そ、それは……」