激愛パラドックス
心配になって顔を覗き込むと、ユキは何故か笑っていた。
……は?
「フフフッ。怒ってないですよ!翔でも、焦ったりするんですね」
ユキは、してやったりという顔で俺の前を歩く。
そんなの、焦るに決まってるだろ…。
ずっと笑っているユキを見て、何か言い返してやろうと企んだけど、止めた。
代わりにユキの手を握ると、すんげぇ驚いた顔で振り返ってくる。
「ハハッ…」
真っ赤な顔でぎこちなく笑って、何もなかったかのように前を向く。
…めっちゃ照れてやがる。
そんな反応だと思わなかったもんだから、コッチまで恥ずかしくなる。
でも、その手を放すことはしなかった。
「あっ、コレなんてどうですか?」
「それ絶対見た目チョイスだろ…」
スポーツショップに着いてスパイクを見ていると、ユキがスパイクを持ってきた。
「そっ、そんなことないですよ!」