激愛パラドックス
必死に否定するユキを横目に選んでくれたスパイクを履いてみる。



「…履いちゃうんですか?」



「うん、コレにする」



何度か足踏みをして即決する俺に、ユキが目を丸くする。



「えっ!?そんな簡単に決めちゃって良いんですか?」



「あぁ、実はコレ前から欲しかったヤツなんだ」


スパイクを脱いで箱にしまいレジに持っていく。



まさか、ユキがコレを持ってくるとは……。



「決めてたなら、私が来た意味無いじゃないですか!」



えっ、そこ!?


普通、意見が合って喜ぶとこなんじゃねぇの?



納得のいかない様子のユキの頭をポンと叩いて顔を覗き込む。


「だから、デートっつっただろ」



「……はっ、そうでした」




何故か顔が真っ赤になり大人しくなったユキを置いて、会計を済ませた。



「で、これから何処行こうか」



店の前で立ち止まって時計を見ると、11時を過ぎていた。



「あっ…」


ユキの声につられて顔を上げると、視線の先に雅也がこっちに向かって歩いているところだった。



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