激愛パラドックス
駅まで来ると、好が思い出したように小さく叫んだ。
「あっ!そういえば羽柴センパイって、ファンクラブがあるみたいだよ」
「ファンクラブ?」
そんなに人気なんだ…。
「うん。さっき声掛けてきた人は高相篤史(タカソウアツシ)先輩っていうんだけど、サッカー部のキャプテンで女子からは2番人気なの」
好の情報網に引いていると、思いっきり背中をカバンで殴られた。
バンッ!!
「イッター!!!」
隣で舌を出している好に睨みをきかせる。
「だって今、私の事キモいって思ったでしょ?」
「いや、引いただけだよ」
真顔で答えると、好は「一緒じゃんっ」と言って頬を膨らませた。
「あはは〜、ゴメン!ちょっとからかっただけだよっ」
膨らんだ頬を指で押すと、間抜けな音が好の口から漏れた。
「だからさ、羽柴センパイは有名人なの!知らないのユキぐらいだから!」
好があまりにもムキになるから、可笑しくて笑いが止まらなかった。
「笑い過ぎっ。薄情な親友だ!」
「アハハ〜、だから謝ってるじゃん!」
「許さん!」
「キャハハッ〜!」
「…もう!」