激愛パラドックス
「翔!今年の新入生豊作だな」
「…米みたいに言うなよ」
篤史は毎日の様に校門を通る1年生を教室の窓からチェックしている。もはや日課。
「お前もさ、モテんだからサッカーばっかやらずに、青春しようぜ!」
「……サッカーも青春だろ」
女なんて懲り懲りだ。
2年の時にまでは付き合ってた子はいるけど、皆自分から去っていった。
「良い男過ぎるのも大変だな。付き合っても女同士のライバル心で、彼女は気が抜けない。揚げ句の果てには、彼女がお前を信じきれなくなって別れを切り出すんだから」
「…なんでお前がんな事に詳しいんだよ…」
「だって、ファンクラブに入ってんだもん」
…はっ!?
「ファンクラブって何の?」
「翔の」
とぼけた顔で、篤史は俺に指を向ける。
「なんでそんなもん勝手に作ってんだよ!」
ありえない、気持ち悪い。
「んな怒んなよ。サポーターがいなきゃ、試合も盛り上がらないだろ?」
ファンクラブの会員をサポーターにすんのかよっ。