激愛パラドックス
「翔とユキちゃんをくっつけさせるために、話すきっかけを作ろうと思う」
「…はっ!?」
「それは良いと思うんですけど、どうやって?」
雅也はスポーツタオルで汗を拭いながら聞く。
「来月の試合にマネージャーとして、ユキちゃんを試合に連れていこうと思う!」
「……相当ムリがある話しじゃん」
「そうですよ、誰がなんて言うんですか?」
「そりゃ、中学から仲の良い雅也が適当に理由付けて言えば良いんだよ。腕の見せどころじゃん」
篤史はそう言うと、腕を叩く。
「いつ誰がそんなのを見せどころにしました?」
冷静なツッコミをする雅也を無視して、篤史はマネージャーの玉木に声を掛けに行った。
「…嫌な予感が当たった」
余計なことすんなって言ったばっかなのに………。
「まぁ、良いんじゃないですか。篤史先輩、嬉しいんですよ。きっと」
「…嬉しい?面白がってるようにしか見えないだろ」
スポーツドリンクをせっせと作っているマネージャーになにやら説明しているのを、遠くから雅也と二人で眺める。