激愛パラドックス
カミングアウトなんかするんじゃなかった…。
「よしっ!高校生になったんだから、イケメンな彼氏作ろーぜっ!」
窓の向こうに指を差して、片足を椅子に乗せる好を見て、笑いが込み上げてきた。
「フフフッ、パンツ見えてるって!」
笑いながら指摘すると、好はニンマリしながら足を椅子から下ろして手を差し出した。
「…?」
「見物料、80円」
「安っ!!!」
「だってジュース飲みたいんだもん。喉カラカラ」
「仕方ないなぁ〜、自販機行く?」
そう言って小銭入れをポケットから取り出すと、好が抱き着いてきた。
「キャーッ!ユキ大好き!センパイに振られても、ちゃんと私が慰めてあげるからね」
「止めてよぉ!縁起の悪い!私にソッチの気は無いってば!」
無理矢理好を体から剥がすと、隣の席の中村君が戻ってきた。
「おい、レズ退け」
「失礼な!この童貞野郎!」
「…コラコラ、自販機行くよ」
暴走してとんでもない事を言い出した好を教室から引っ張り出す。
「ダメじゃん、好きな人にあんな事言ったら」
好は中村君にラブなのだ。