激愛パラドックス
びっ…貧乏人!?


「きょ、今日はたまたま無かっただけで、貧乏人じゃないです!」


とっくに背中を向けて教室に向かうセンパイにそう叫ぶと、振り向きもしないで片手を上げながら手をヒラヒラさせ、階段を上がって行ってしまった。





「…ユキ、あんた意外に積極的だったね」


「…そ、そう?」


「いつもなら、ニコニコ笑ってるだけじゃん。そのせいで勘違いするヤツ多いけど」


「えっ!!そうなの?」


そりゃあ、話し掛けてきた相手には男女問わず笑顔で対応してるけど…勘違いされてるなんて、知らなかったよ。



「てかさ、マネージャーのこと、言わなくて良かったの?」



…そんなこと、すっかり忘れてた。



「そうだよね。頼まれたにしても、一応お願いしますって、言うべきだったよね?」



紙コップを握りながら呟く私に、好が笑いを堪えるように言う。



「まぁ、大丈夫じゃない?また会えたらでも…」


「…なんで笑いそうなの?」



コッチは真剣なんだけどな……。


「ゴメン!ユキが恋愛事で一喜一憂すんの、初めて見たから…可笑しくて…ブフッ」


「失礼なヤツめっ!」


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