激愛パラドックス
「ヤダ!クッキーが良い!家に帰ってから食べてって言えば良いんだから」
「…そうだけどさぁ、なんでクッキーなの?」
「だから、女の子っぽいからだよ。中村にクッキー渡したら、アイツの中で私の株が上がるじゃない?『おぉ、アイツもなかなか可愛いとこあるじゃん!』って」
「…ふーん、じゃあ頑張れば?」
もう何を言っても無駄だ。
好は恋をすると周りが見えなくなり、特急列車のように簡単には止まらない。
「サンキュー!…で、いつ作る?やっぱり当日かなぁ?」
そう言って私を見上げる好に、とても嫌な予感がした。
「…何が?」
「分かってるくせに。クッキーを作るんだよ、ユキが」
……!?
「何で私が?自分で作るんじゃないの!?」
「誰が自分で作るって言った?私、こう見えて料理のセンス0なんだからっ」
いや、そこ自慢するとこじゃないからっ。知ってるし!