激愛パラドックス
次の日、中学の友達と遊んで家に帰ると、玄関先で俊がボールを抱えて出迎えてくれた。
「おかえり」
「ただいま〜。疲れたぁ」
リビングに入って体とカバンをソファーに投げ飛ばすと、カバンから中身が出てきてしまった。
「何やってんだよ、ユキ姉。そんなんで練習出来るのかよ?」
文句を言いながら拾ってくれていた俊がピタリと止まる。
「どうしたの?」
「…ケー番とアドレスが書いてある」
紙切れを見せられて、しまったと思いながら慌ててその紙切れを奪った。
「またナンパ?」
「お母さん達には言わないでよ!?」
街を歩くと男の人に声を掛けられたり、こうやって連絡先を書かれた紙を渡されたりしていた。
でも、これって誰でもされるよね?私だけじゃないはず…。
「…言わないけどさ、ユキ姉誰に対しても優しいとこあるから気をつけた方が良いよ?」
「小学生の弟に忠告されるとはね…分かったよ、ありがとう」