激愛パラドックス
Tシャツとショーパンに着替えると、俊と一緒に近くの公園にやって来た。
ここは広くてサッカーゴールまであるから練習にはとっておきな場所みたい。
いつもは誰かに使われているらしいけど、今日は運良く遊具の方にしか人はいなかった。
私はゴールの前に立ち、両手を大きく広げた。
「絶対に当てないでね?」
「しつこい」
そう言って狙いを定めている目付きは、既にいつもの俊ではなかった。
急に怖くなってしまった私は、俊が足を振り上げた瞬間、体を縮こませてしまう。
「…………」
あれ…?ボールが来てない…?
顔を上げて見上げると、思いもよらない人物が私を見下ろしていた。
「…何やってんだよ?」
ドキッ!!!!
「…はっ、羽柴センパイ?」
どうして此処に??
よく見ると、先輩の手には俊のボールが…。
「お前の弟?」
「…はい、そうです」
立ち上がりながら答えると、羽柴センパイがリフティングをしだした。
「ぉお!!!スゲェ!!!!」
普段冷静な俊が、興奮したようにセンパイに駆け寄る。