激愛パラドックス
「お前の姉ちゃんボールが怖いみたいだ。俺が代わりに教えてやろうか?」
「はい、是非!」
「フッ、お前名前は?」
「橋野俊っす!」
「俊か、俺スパルタだけど泣くなよ?」
「はいっ!」
「じゃあ始めるぞ」
「はい!!」
って、ぇえええ!?
姉としての立場無いじゃん!!
「おい、いつまでボーっと突っ立てるんだよ。危ないからアッチで座ってろ」
うぅ…、そんな眉間にシワ寄せて言わなくても良いじゃん…。
「…後は、今言ったとこ重点的に練習しとけ、俺休憩するわ」
羽柴センパイはそう言うと、私の隣に腰掛けてきた。
ちっ、近いよ!
「…ありがとうございました。どうぞ、これ」
「あっ、悪いな貧乏人」
二人が練習に夢中になっている間に近くの自販機で買っておいたジュースを一本センパイに渡した。
「貧乏人は止めてください…。あの、今日はありがとうございました。サッカーなんてした事もなくて、本当は不安だったんです」
ボールが、あんなに怖いと感じるなんて思わなかった。