激愛パラドックス
「…可愛いな」
へ…?かっ、可愛い?私が?
不意打ちに言われて、心臓が激しく波を打つ。
なっ、何か言わなきゃ!
「弟」
おっ…弟!?
「…はっ…弟……そうですよね!?俊、可愛いですよね?アハハ〜」
おっ、弟かよっ!
最初から主語を言ってくれれば良かったのに…!
勝手な勘違いで恥ずかしくなって、顔が熱くなる。
「お前の名前、確かユキだっけ?」
「…はい、そうですけど?」
そういえば、自己紹介とかした事なかったかも…。
「ユキにそっくりだな、俊」
羽柴先輩はそう言って、目を細めて笑った。
ドキドキ…ドキドキ…。
「そんな顔もするんですね…」
「は?顔?」
「はい、いつもキツネみたいじゃないですか」
「…あれはお前が悪い」
「わっ私ですか!?」
…なんかしたかなぁ?
「お前見てると、なんか苛立つ」
ガーン!!!!
「…ずみ゙ま゙ぜん…」
苛立つとか、そんな事言われたの生まれて初めてだよ…。
ショック…。