激愛パラドックス

落ち込む私に、先輩の大きな手が頭に触れた。



「…先輩?」


ジッと見つめられて、絡まってしまった強い視線から逃れる事が出来ない。


「…ウソ」


「…へ?」


ウソ……?


「うーん、やっぱり本当…」



なっ!どっちなの?


「…あのっ!」



怒りが交じった声で、羽柴センパイに突っかかろうとた瞬間、頭に乗っていた手がゆっくりと下がってきて、頬に触れる。

ドキン!!


「セッ、センパイ…?」


段々近付いて来る羽柴センパイの端正な顔に、ただただ焦るだけの私。


キスされる!?


気付いた時には、もっとパニックになってしまった。


唇が、後1cmでくっつきそう!というところで、小さい悪魔の咳ばらいによって、私の甘い時間は壊されてしまう。



「ゴホン!」



忘れてた…俊の存在…。



微笑しながら私から離れたセンパイは、何事もなかったように、俊の元に駆け寄って行った。



…センパイが触れてた頬っぺたが、まだ熱い…。



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