激愛パラドックス
「まぁまぁ、雅也もお前のことが心配なんだよ」
本当かよっ!
「それより、大会前の練習試合に1年も出て良いんすか?」
“それより”って!
「まぁな。一応実力も見とかないと…。雅也は確実にレギュラー入りだけどな」
「そうだな!なんてったって、俺たちがスカウトしたんだから」
篤史が自慢気に腰に手を当てる。
「いや、普通に俺の頭じゃここしか無理だった的な感じなんですけど……」
「えっ!!マジで?」
気まずそうにしている雅也に、篤史はかなり驚いた様子。
「雅也らしいな」
「ハッハッハッ!確かに。でも、理由はどうあれ入ってくれて良かったよ」
篤史は豪快に笑いながら、雅也の両肩をバシバシと叩く。
相当痛かったらしく、雅也はポツリと「過ったかな」と呟いた。
雅也は何処か冷めているところがあるけど、人見知りなだけで俺たちの事を慕ってくれていると思う。
俺たちが見に行った中学の県大会で雅也が活躍しているところを見てて、チームメイトにも好かれているのはよくわかった。
だから、クールなところなんか全然気にならない。