激愛パラドックス
おかしそうに笑う雅也に、コイツもこんな風に笑うんだと眺めていると、急に笑みが止む。
「…帰りますか」
スクっと立ち上がった雅也がスクールバックを持つ。
「はいよ。腹へらね?たまには付き合えよ」
「ヤです。シャワー浴びたいんで」
「相変わらず付き合い悪いな」
部室を出て鍵を閉める。
「人見知りなんで」
「…今さら?」
ん?てか何で雅也こんなに遅かったんだ?
いくら疲れてたって、いつも一番早く部室から出てくのに………。
まさか、俺を待ってたとか?
「…なんか、悩みとかある?」
「ないです」
…だよな。
あったとしても、絶対に人には相談したりしなさそうだし。
「じゃあ、俺は職員室に鍵預けに行くわ」
「…お疲れっす」
「おう」
何気なく、雅也が校門に歩いていくのを見届けてから職員室に向かった。