激愛パラドックス
「…付き合ってください」
次の日の朝、後輩に校舎裏に呼び出された俺は、今月に入って何回目かのセリフを聞かされていた。
「……悪いけど、ムリ」
それだけ言って背を向け、ため息をつきながら校舎に入ると、「わっ!」という驚いた声が……。
「……羽柴センパイ、おはようございます…」
そこには、なぜか元気のないユキの姿があった。
「はよ。なにこんなとこで突っ立って…………」
はっ!今の聞かれてたとか?
「あっ、朝からお忙しいですね………」
「立ち聞きかよ」
「すみません、そんなつもりは無かったんですけど…」
目を逸らすユキに、何故か頬が綻ぶ。
もしかして、元気が無いのって俺のせい?なんて…。
「あの、センパイは告白されてもいつもあんな感じに断るんですか?」
「…大抵は」
「そうなんですか…。なんか、可哀想ですね」
は?ダレが?
ユキの言っている意味に理解できなくて、首を捻る。
「どういう意味?」
「あんな言い方じゃ、勇気を出して告白した人は可哀想って言ってるんですっ」