激愛パラドックス
退屈な授業が終って放課後になると、篤史が素早く俺の席に迎えに来る。
「練習行こうぜ♪」
いつもよりテンションの高い篤史に、顔を上げる。
「機嫌良いな。合コンで女でも出来たか?」
「えっ!!なんでわかんの?」
わざとらしく驚く篤史には、呆れる以外なにもない。
「…お前は気楽で良いよ」
鍵を取りに行くために、篤史と二人で職員室に向かう。
「なんで?翔も気楽にいけば良いじゃん!ユキちゃんと早く付き合っちゃえば?」
おい!名前は出すなよ。
「…そんな都合よく行くかよ」
声のトーンを落として答えると、篤史は納得のいかない顔で言った。
「じゃあ、都合が良い時っていつ?そんなの、自分次第じゃん。せっかく好きになったのに伝えないなんて、勿体ないと思わない?」
「…思わない。言ったとして、相手に受け入れられなかったらどうすんだよ」
階段を降りて2階の踊り場を曲がると職員室が見えてくる。