激愛パラドックス

キーンコーンカーンコーン…。



「…ユキ、いつまでボーっとしてんの?お昼だよ」



あっ………。



顔を上げると好が心配そうに首を傾けていた。



「もうお昼?」


机の上に開いたままの教科書とノートを好が閉じて渡してくれる。


「そうだよ。ねぇ、この前からおかしくない?なんかあったの?」


「ううんっ!なんでもないっ」



笑顔を作って好に向けると、不満そうな顔を見せながら「…そう」と呟いた。


「しまった!今日お弁当無いんだった。購買に行ってくるね!」


小銭入れを手にして席を立つと、好が思い出したように「あっ!!」と叫ぶ。


「そういえば春やんがこの前貸した金返せって言ってたよ?アンタどんだけ人に金借りてんの」


「…あぁ、この前パン買うのに財布忘れて借りてたの忘れてた。夏休みまでに返せって言われてたわ」


「本当にユキって貧乏人じゃん、グフフッ」




< 63 / 118 >

この作品をシェア

pagetop