激愛パラドックス
キーンコーンカーンコーン…。
「…ユキ、いつまでボーっとしてんの?お昼だよ」
あっ………。
顔を上げると好が心配そうに首を傾けていた。
「もうお昼?」
机の上に開いたままの教科書とノートを好が閉じて渡してくれる。
「そうだよ。ねぇ、この前からおかしくない?なんかあったの?」
「ううんっ!なんでもないっ」
笑顔を作って好に向けると、不満そうな顔を見せながら「…そう」と呟いた。
「しまった!今日お弁当無いんだった。購買に行ってくるね!」
小銭入れを手にして席を立つと、好が思い出したように「あっ!!」と叫ぶ。
「そういえば春やんがこの前貸した金返せって言ってたよ?アンタどんだけ人に金借りてんの」
「…あぁ、この前パン買うのに財布忘れて借りてたの忘れてた。夏休みまでに返せって言われてたわ」
「本当にユキって貧乏人じゃん、グフフッ」